「宙返りだなんて3億年早いよ」
これはプリパラ29話『EZ DO グロササイズ』におけるドロシー・ウェストのセリフである。
「セクシーな僕はヒロインにぴったり!5万人に告白されて1億人くらいふっちゃう役とか」
これもプリパラ102話『変幻自在!ジュエルチェンジぽよ』におけるドロシー・ウェストのセリフである。
聡明な読者諸君はここで「あ、今回もドロシーの記事か」と思っただろう。
しかし、本記事がドロシーをメインに据えた記事では無いことは記事タイトルが「ドロシー様の素晴らしさとその言葉選びのセンスについて」ではないことからも明白である。
そう、今回のメインは(残念ながら)ドロシーではないのだ。
メインは数字の方である。
例えば先の「宙返りだなんて3億年早いよ」というセリフ。
これは、宙返りを習得しようとプリパラジムに入門したそらみスマイルたちに対して、面会に来た際にドロシーが放った言葉である。
この3億年という所に注目したい。
現実的に考えて宙返りを会得するのに3億年かかるはずがない。
3億年といえば文明レベルが古生代から現代まで進歩するほどの期間である。
宙返りはそんなにも長い期間を比喩象限に用いられるほどの大技だったであろうか。
そらみスマイルの面々は小中学生であり、3億年とは言わずとも3年、大目に見積もっても10年早いぐらいの難易度の技である。
では何故、そこまでの誇張表現を使うかということについて考える。
プリパラ29話時点では、ドレッシングパフェはそらみスマイルよりも先に新しいサイリウムコーデ(フレッシュドレシチームサイリウム)を入手して一歩リードした形になっている。
たかだか1歩のリードかもしれないが、ドロシーを調子に乗せるには十分である。
つまり、このセリフこういうことになる
「(このボクですらできない)宙返り(をしよう)だなんて3億年早いよ」
こう解釈すると非常に納得がいく。
これが3年や30年だったらドロシーというキャラがちょっと自信過剰というレベルの小物になってしまうところだった。
やはりドロシーというキャラのスケールを図るには億単位で物事を考えなければならない。
これやっぱりドロシーについての話では?
2つ目の例の「セクシーな僕はヒロインにぴったり!5万人に告白されて1億人くらいふっちゃう役とか」というセリフにも、あえて現実的ではない数字を出すことによって、ドロシーの醸し出しセクシーさや自信過剰具合、やっぱり算数ができないのかといった様々な要素を数字一つで表現することに成功している。
ここまで色々書いといてアレだが、プリパラ関連の記事で小難しいことを書いて「なんかよくわかんないけど褒められてる、やったー」みたいな感じになっても困るので半分くらいはネタとして受け止めて欲しい。
さて、実はもなにも記事タイトルを見れば分かる通り、先に挙げた2つのセリフが登場する29話と102話の脚本担当は福田裕子氏によるものである。
福田先生の脚本回には先の二つ以外にも多くの数字(通称:福田数字)が登場する。
そこで今回、プリティーシリーズでの福田先生の脚本回にどれだけ数字が登場したのかを調べて見ました!
本記事にはセリフを扱う性質上プリティーシリーズの最新話までのネタバレを含んでおります。閲覧は自己責任でお願いします
今回調査の対象となったのは以下の51話+映画1本である。
「かしこまミステリープリパラ連続ダ・ヴィンチ事件」、「ノンシュガー漂流記」、「まりあちゃんがやって来た!かわいい向上委員会だもん!」などのぶっ飛んだ回とシルクちゃん推しの印象が強いが、プリパラ140話やアイドルタイムプリパラ最終話、最近だと「大冒険!だいあの世界にキラにちは!だもん!」やジュエルコレクション回といった物語が動き出す回の担当もされている。
次に計測する福田数字の定義について考える。
数字だからと言って何でもかんでもカウントしていたらえらいことになるので、例えば"千里の道も一歩から"とか"4人"とか"第一回"などといったように通常使われる表現に数字が含まれているものや数字そのものに違和感がないものは対象外とする。
これが"千里の道も一万歩から"とか"5億人"だったら福田数字としてカウントすることにする。
ぶっちゃけ私の気分でカウントしていたり、普通に聞き逃して集計ミスしていることがあるのであんまり厳密に考えないでほしい。
全てを紹介するとキリがないので個人的に面白かったものを抜粋して紹介する。
・プリパラ8話『ドキドキ!夏だ!水着だ!プールでかしこまっ♪』
南委員長のパプリカ学園校則13985条「プールサイドを走ってはならない!」、22411条「準備体操無しでプールに飛び込んではならない!」、35439条「こまめな水分補給を怠ってはならない!」の三連発が発動。
35439条は93話で39571条が登場するまで85話もの間で最大値だった。
ちなみにパプリカ学園の校則の初出は第1話の3243条で、そもそも福田脚本の前から数字は大きかった。
・プリパラ29話『EZ DO グロササイズ』
グロリア「この先3年一歩も外に出しませんわグロ」
いわゆる"この先"シリーズ。
他にも
プリパラ8話のクマの「もし遅れたらこの先一生お前の飲むオレンジジュースに味噌汁をまぜてやるクマ」
アイドルタイムプリパラ17話のドロシーの「もし負けたらこの先一生お前の飲む炭酸ジュースは開ける前にふりふりしてやる」
プリチャン20話のみらいの「えもちゃんもりんかちゃんもこの先100年靴下の親指のところに必ず穴が空いちゃえ」
など様々なパターンが存在する。
・プリパラ63話『トモチケは世界を救う』
24.5時間テレビに始まり、トモチケ1000万人チャレンジ、雨宮の373キロマラソン、らぁらが寝るときに羊代わりに数えたトモチケの数「1兆2840枚...1兆2841枚」、作画の100万tハンマー(後で100tに変化する)、らぁらのセリフ「千里の道も一万歩から」や「トモチケ1千万枚ドミノ倒し」など大量に登場する。
・プリパラ77話『対決!ウィンターグランプリ』
天才チームに勝つための301(みれぃ)%の努力が出てくるのも福田先生の担当回。
ちなみに55301(ゴーゴーみれぃ)が出てくる84話もやはり福田先生の担当回。
・プリパラ102話『変幻自在!ジュエルチェンジぽよ』
最初に紹介したドロシーのセリフはこの回のもの。
数字とは関係ないが、らぁらが昔もずくBの役をやったことをアピールするシーンがあるが、プリ☆チャン28話でえもが昔タワシAの役をやったことがあるという似たようなネタが存在する。
・プリパラ115話『ひびけ!神アイドルグランプリ!』
ドロシー「 じゃあ、お前んちお好み焼きのへら何枚ある?ぼくんち100枚ヘヘーン勝った!うちの方がセレブ!ヘヘッ」
これ好き(個人的な感想
・アイドルタイムプリパラ22話『プールdeプランス 大レース!』
しゅうか「無駄話に3分25秒も割いてしまったわ」
ゆいとしゅうかが会ってから、しゅうかがこのセリフを言うまで1分53秒。
途中でCMが入るがCMの時間は1分なので、30秒ほど足りない。惜しい
・プリ☆チャン53話『まりあちゃんがやって来た!かわいい向上委員会だもん!』
りんか「私シルクちゃん。体重はマイマイカブリ23匹分よ」
サンリオキャラみたいな体重の表し方をよりにもよってマイマイカブリを使って表現するりんかのセンス。
・プリ☆チャン110話『ひびけ! メロディープリンセスカップだパン!』
福田先生のTwitterによるとシルクちゃんルームはかわいい三十三間堂のイメージだったらしいが、かわいい三千院と伝えてしまったらしい。
よくわからないが、よくわからないところで数字が出てきた。わからん
本編中には登場していないのでノーカウント。
調査を行った結果、福田数字は4種類に分類されるということが分かった。
1つ目は最初に例で出したように、異常に大きな数字や異常に小さい数字でものごとを表現する誇張型である。
大きい数字の説明は既に行ったが、小さい数字の例としてはプリチャン80話のあんなのセリフに
「産まれて5秒後に舞踏会デビューしたこの私が…」
というものがある。これも大きい数字を使う場合と同様にあえて非現実的なくらい小さい数字を扱うことによって赤城あんなというセレブキャラのスケールの大きさが分かる。
2つ目は非常に正確な数字を扱う、精密型である。
例えば、プリパラ3話におけるみれぃのセリフ
「1億人分の笑顔データを解析した結果、首の角度は右斜め37.3度、口の端を30.1度上げて・・・」
や他にもプリパラ95話における雨宮のセリフ
「南委員長、ポニーテールの後れ毛がいつもより5本多い」
といったようなものが代表とされる。
所謂、スポーツ漫画で眼鏡をかけてデータを重視するタイプのキャラが言いそうなセリフである。
3つ目は作画型である。
ディアマイフューチャー31話のこれ↓
やプリパラ63話のこれ↓
のようにセリフとしては登場しないが、作画の方で登場するタイプである。
脚本が作画にどれだけ影響しているかは判断付かないので、とりあえず作画で表現されているものは全て作画型とする。
4つ目はその他である。
決して分類が面倒になったわけでは無い。
ということで全調査結果はこちら
怪しいのが何個かあるが、気にしてはいけない
未登場回(もし見つかった場合はコメントお願いします)
数字が登場したのは全51話(+映画1本)中39話と8割弱の話に登場するという非常に高い数字となった。
以下シリーズ別で気になったことを適当に
・プリティーリズムディアマイフューチャー
比較的コメディ要素の強いディアマイフューチャーだが、4話中3話の登場で個数も少なめだった。セリフとして初めて出てくるのがペンギン先生のセリフというのは納得の一言。
・プリパラ
やはりみれぃの発言が大部分を占める。次点のドロシーはやはり大きい数字が多い。
・プリチャン
みれぃの系譜なのかは分からないが、スーパーゴージャスセレブリティなだけあって、あんなの発言が大部分を占める。
全2作と違って、世界的な博士や屋台の親父、ニュースの司会者、果てはモシダ(さらのCM撮影の監督)までメインキャラ以外が発言者となることがあった。
さて、調査し終えたところで一つの疑問が浮かんだ。
それは、プリティーシリーズ以外でも福田先生の脚本回に福田数字は出てくるのか?ということである。
そこで今回、福田先生が脚本を担当しており、なおかつ漫画等が原作ではない作品を対象に調査を続行することにした。
具体的には『カミワザ・ワンダ』、『ジュエルペット ハッピネス』、『ジュエルペット マジカルチェンジ』の3作を対象として調査を続行することにした。
(余談だが、総話数がそれぞれ47話、52話、39話と多く、福田先生の脚本回以外ももちろんすべて視聴し、ジュエルペットの他のシリーズも見ていたため、この記事を書くのが遅れに遅れた。)
『カミワザ・ワンダ』はdアニメストアで、ジュエルペットは全シリーズがYouTubeの公式配信で視聴できるぞ!
というわけでここからは上の3作に関するネタバレを含む可能性がありますのでご注意ください(極力ネタバレを避けてはいます)
『カミワザ・ワンダ』
とりあえず1話から見たらエンディングの曲の作詞が福田先生だった。
しかも、なんか普通に数字出てきた。もう調べるのやめてもよくない?
歌詞を書いて面倒なことになるのは避けたいので気になる方は”サンバdeワンダ”で検索してください。
・3話『レールは続くよ』
最初の担当回。いつになったらプロミンを探しに行くんだとワンダにせかされたユートが「そんなの後々…3年後?」とジャブをかましてきたが、その後ワンダが
「ワンダ星時刻111時1分11秒, ワンダ星が1億万回回ったときケン」
と安心する大きさの数字をかましてきた。
・36話『進め!ワンダ探ケン隊』
全47話の中でも1,2を争う濃い回。
川口浩探検隊、ダダンのCM、パネルクイズアタック25、警察24時などのパロネタをもろにぶち込んで来た。
ちなみにテレビ番組パロディはプリパラの24.5時間テレビの回の『もやもやプリパラ3』、『恋のクマ騒ぎ』、『エンタのトリコさま』、『グロリアの裏番組をぶっとばせ!』、『きいてちょーだい そふぃの思いッきり生通信』や他にもスマイル0%の回の『朝まで生メメメ』など元ネタがテレ東系列の番組に関係なく定期的に見られる。
この回では川口浩探検隊風の書き文字で
「衝撃!3万年の眠りから目覚めたゾンビ」
「極限状態!!標高2万メートルの山に挑め」
と非常に自然な?形で福田数字が登場する。
・44話『ナイスとアメイジング』
アイランジュ...じゃなくてミライジングが結成する。
たぶん数字は無かったと思う。
最終結果はこちら
9話中5話で登場と少し少ない結果に。
メインキャラのボケ担当がワンダくらいしかいないことも影響したかもしれない。
・ジュエルペット ハッピネス
主にラブラとエンジェラがメインとなる回の担当が多い。
・7話『なでなでするパカ〜!』
浅野先輩がエンジェラをなでるゲームで得たポイントが2,878,909,009ポイント。
ちなみに15話(脚本は違う)で友情ポイントが2億ポイントを越えたことが判明する。(なんか減ってない?)
・16話『波に乗るって~!』
あずさ先生をナンパしに来た男の海パンの値札に500円の表記。
500円ならまだまだジャブ程度か...と思ったらローサをナンパしに来た男が「ねぇねぇそこのピンクの子、水圧は10万ヘクトパスカルだよ」と意味不明な口説き文句を...
と思ったら16話は金杉脚本じゃないか!騙された!
・45話『バレンタインデーご〜ろごろ!』
タイトルからも分かる通りバレンタイン回。張り切ってチョコを作るガーネットが
「バレンタイン、それは年に一度100億人のガーネットファンに愛という名のチョコをふりまく日」
「待っていなさいよ、100億人のファンたち」
「ただごめん、私はここに残らないとならないの。なぜなら、100億人のファンのためチョコを完成させないと」
「100億万人のガーネット様ファンのみんな、いくら私が高貴で素敵だからって遠慮することないでしょ」
と100億人(と100億万人)を複数回発言。
地球の人口は100億人もいないのでは?と思ったが作品の舞台は地球ではなくジュエルランドなのでセーフ。
最終結果はこちら
12話を除く8話中7話に登場とかなり頻度が高い。
プリパラでみれぃの数字発言が多かった割にはサフィーの数字発言が少なかったのが意外。
・ジュエルペット マジカルチェンジ
ハッピネスに引き続き、ラブラのメイン回が多いが、それに加えてラリマーが神アイドルをめざす一連の回の担当をしている。
本作は多くの回がAパート、Bパート、Cパート(ジュエルペットただいま逃亡中)の三部作構成となっている。
・3話 Aパート『アイドルにマジカルチェンジ!』
ジュエルモールイメージガールコンテストに出演するためにルビーがかましたハッタリの「100億年に1人のアイドル」という表現が多数登場する。
そのあとにマジカルチェンジしたラリマーに対して「3秒に1人のおばちゃん」と評するなど合わせ技も。
数字とは関係ないがCパートの展開が「なんと、おはぎだったのです」
・10話 Aパート『なでなで屋さんパカ~♪』
国家なでなで師1級をもつエンジェラをなでた受験生が「ひともこ毎に偏差値10アップ。これで合格間違いなし」と発言。
だから浅野先輩は頭よかったのか。
・12話 Aパート『ペットを飼いたいらぶぅ~』
・24話 Aパート『芽が出ないらぶぅ~』
数字こそ出てこないが、それを必要としないくらいインパクトの強い回。
・29話『恋するアイドル』
「アイドルの恋人はがファンのみんななのよ。つまり私の恋人はざっと71億人いるの。」とさらっと全ての人間がファンであるかのような発言をするラリマー。
でも、話の内容自体はマジカルチェンジでは珍しく?真面目な話。
というわけで最終結果。
Aパート、Bパートの区別をなくせば24話以外の7話中6話に登場。
ハッピネスもそうだが、ボケ担当のキャラが多いのとジュエルペットシリーズの作風に合っているのもあって登場頻度は多かった。
というわけでこれで調査終了。
別にプリティーシリーズに限ったことではなく、他の作品でもやっぱり福田数字は出てくるということが分かった。
ちなみに、1回金杉脚本に騙されたが、プリパラ122話でも嘘八千万といったように金杉数字が出てきていたことが分かった。調査はしないです